Q「学校で、いつもぼくばかり怒られるのはなんで?」

ご本人 「学校で、いつもぼくばかり怒られるのはなんで?」

鈴田 「どんな時に、注意されるのかな?」

ご本人 「授業中に、ほかの子もしゃべっているのに、ぼくばかり怒られるんだよ。○○ちゃんも、しゃべてるって言ってるのに、「あなたのことを話してます」って、聞いてくれないんだよ。」

鈴田 「そっか、ひょっとしたら、他の子よりも声が大きいのかも知れないね。同じくらいしゃべったとしても、小さい声だったら(授業の妨げにならないから)、注意されないかもしれないね」

ご本人 「納得いかないなー。だって他の子もしゃべってるじゃない。○○ちゃんなんかは、後ろを向いて話していたのに」

鈴田 「そうだね。授業中に私語をするのは、あんまりよくないかもね。ただ、それがどれだけ他の子の授業への取り組みに影響しているのかを、先生は気にしてるんじゃないかな?しゃべってることはいいことじゃないけど、その声が大きかったり、他の子が授業を聞きたいと思っているのに妨げになったりすることに、先生は止めるようにいってるのかも。」

ご本人 「ぼくは、他の子と同じくらいの声の大きさだと思うよ。ぼくより声の大きい子だっているんだ」

鈴田 「そうだね。声の大きさって言うのは、いろいろなことが関係しているんだ。高い声や低い声、がらがら声なんていうものだけじゃなく、あの子はちゃんとしてるかなって心配になっていると、よく聞こえるようになっちゃうんだよね。先生にとって、あなたの声は気になる声なのかもしれないね」

ご本人 「そんなの不公平だよ。ぼくの声が気になってるのは先生のせいじゃないか」

鈴田 「先生が、あなたの声を気にしている原因のひとつは、時間や時間帯かもしれないね。時間や時間帯って言うのは、先生の気持ちに影響すると思うよ」

ご本人 「どういうこと?」

鈴田 「A君に注意したら、A君がすぐにしゃべるのをやめた。これで5秒ね。B君に注意したら、B君が「他の子も・・・」と先生に訴えたら、先生が「あなたのことを言っています」と返してきて、またそれに言い返して・・・、これで3分。5秒と3分じゃ、全然違うよね。先生は、みんなの授業の時間を大切にしているから、授業が止まったり、他のことに使われるのは好きじゃないんだ。B君は言いたいことがあるんだったら、休み時間に先生に自分の思いを伝える方法をとることだってできる。」

ご本人 「でも納得いかない。B君は、「他の子もしゃべってる」って正しいことを言ってるだけじゃない」

鈴田 「授業時間はみんなのもの、その時間を減らすってことは、よくないことだってことはわかるよね。他の子もしゃべってるってのは事実だとしても、しゃべってることそのものではなく、そのおしゃべりがどれだけ周りに影響しているのか、先生がその注意にどれだけ時間をかけているかってことなんだ。」

ご本人 「いや、やっぱり先生がわるいと思うよ。だけど、みんなの授業時間を減らしちゃいけないってことは分かる。泣き寝入りするしかないのかー」

鈴田 「もしB君が、後で先生に自分の気持ちを伝える方法を選んだとしたら、それは大人の対応だね。ただし、後で先生に自分の気持ちをしっかりと伝えることが重要なんだ。これはとても大切なことなんだ。我慢しなさいって話じゃないよ」

ご本人 「わかった。でも納得はできない」

鈴田 「うん、A君とB君の話、何か参考になるかも知れないから覚えておいてね」

ご本人 「了解」

ヒント:「いつも」「ぼくばかり」と感じている君へ

 

本当に「いつも」か確認しよう。例えば、図工の時間は先生から注意されることが少ない、国語の時間が注意されることが多いなど、注意される回数を数えてみよう。すると「いつも」ではなく、「国語の時間は」「図工の時間は」などが分かるかも知れないよ。そして、注意されにくい時間があるとすれば、それは何が良いのか調べてみよう。その良いところを他の時間でもできるようにしていこう。

 

「ぼくばかり」なのかも確認できるよ。国語の時間に、自分以外に注意される子がいるかどうか調べてみよう。Aさんは1回、Bさんは3回、Cさんは2回、ぼくは5回だとしたら、「ぼくばかり」じゃなく「ぼくが少し多め」だね。そして、注意されにくい子がいるとしたら、その子の真似をしてみるのもいいかもね。

保護者の方、担任の先生へ

 

まずは、本人さんの思いをしっかりと受け止めてください。ただ、その時の受け取り方には注意してください。例えば「怒られる」と感じて、表現しているお子さんに、そのまま「怒られてるんだね」と返すと、怒られているという事象が定着してしまう可能性があります。「怒られると感じている」ことを受け止めましょう。また、今回のように「注意されている」と置き換えることもできますが、あくまで、本人さんの思いを受け取った上でのことです(今回の質問では、その部分は割愛されています)。思いを受け取った後に、ヒントを教えていきましょう。優先順位は大切です。