Q:担任の先生「授業中に歩き出してしまうことがあります。」

担任の先生 「授業中に歩き出してしまうことがあります。声かけすると席に戻れますが、何度も同じことを繰り返します。どうすればよいでしょうか?」

鈴田 歩いてしまう原因によって対応の方法が違ってきます。原因がわかるまで、その原因に対処できるまでは、社会的な形に置き換えることがひとつの方法です。例えば、プリントを配らせる、窓を開けさせるなどの、周囲の子が勝手に歩いていると思わない行動、認めやすい行動に置き換える等です。少し動くと身体的な感覚がリセットされる場合があり、ウロウロしたい感覚・気持ちから、しばらく解放されることがあります。また、社会的行動であれば、ほめることもできますので、「歩いて叱られる状態」から「歩いて(いても)ほめられる状態」に換えることもできます。周囲からの評価を下げすぎないためにも、検討してみてください。

担任の先生 「手伝いなどをさせることはわかりました。他の子がやりたがると思うのですが、その子だけにさせててよいのでしょうか?」

鈴田 学級は集団の場ですから、一人の子だけが何かを独占することは好ましくありません。先生の意識をその子が独り占めしている(叱られているにしても)ことは、本人さんにも、クラスメイトにとっても好ましくありません。あくまで集団としての機能を維持した支援が望ましいでしょう。ウロウロしたい、ウズウズする等の身体の感覚は、歩く以外でもリセットされますので、音読の際に立たせて終わった人から席に座る、班活動をさせる(席の移動)、背伸びをさせる、先生が教室の別の場所に移動する等も検討してみてください。学級の集団作りと個別支援は相反しないことが大切だと思います。

担任の先生 「他のからの評価を下げすぎないためと言われましたが、ほめて伸ばすことがよいのですか?叱ってはいけないのですか?」

鈴田 成功したことに意識を向けさせるのか、失敗したことに意識を向けさせるのかの違いが大きく影響してきます。1回~数回のみ叱ることで、望ましい行動が獲得できるような場合は、叱ることでもよいでしょう。ただし、何度叱っても、望ましい獲得できない場合には、叱ることが効果的・効率的でない可能性があります。この状態で、叱ることを続けると、先生と子どもの両方が、疲れてしまいます。先生は、集団作りや学力向上に使うべきエネルギーを消費してしまい、子どもは自尊心が育ちにくい状況になってしまいます。また、クラスメイトにも良い影響はあまりないでしょう。単純に、「叱ることは悪い。ほめることは良い」ということではありません。効果的・効率的なのかどうかを判断してください。また、他者や自分に危害が加わるような場合は、安全確保が優先されますので、その過程でしっかりと叱ることも必要でしょう。そのためには、叱るべき基準を明確にしておくこと、メリハリをつけることも大切です。